エロゲーム規制や児童ポルノ禁止法に関するニュース記事を集めました。

2008年12月3日水曜日

児童ポルノ画像提供容疑で逮捕 『単純所持』野放し日本

 インターネットのファイル交換ソフトを悪用し、児童ポルノ画像を海外ユーザーに提供していたとして、埼玉県警が児童買春・ポルノ禁止法違反(提供目的所持)容疑で逮捕した東京都内の会社員ら三人が、計約千八百件のポルノ画像を所有し、画像へのアクセスは昨年十二月から先月までに計三十八万件に及んでいたことが分かった。所持自体への法規制がない日本から、ポルノ画像が世界に流出している実態が浮かぶ。

 県警によると、三人はファイル交換ソフト「eMule(イーミュール)」を使って画像の収集、提供をしていた。画像のほとんどが十歳前後の少女のものだったとされ、一部は少女の名前がタイトルに使われていた。児童ポルノの製造や販売が立件対象となったことはあるが、今回のように営利目的でない「提供目的所持」の適用は珍しい。

 児童ポルノなどの根絶活動をしている国際的な非政府組織(NGO)の日本での活動団体「ECPAT/ストップ子ども買春の会」は「各国の水準から遅れていた日本にとって画期的なこと。児童性的愛好者の犯罪を、野放しにしないという警告になる」と評価する。

 画像がネット上に流出すると、完全に回収するのはほぼ不可能。国連児童基金(ユニセフ)の国内委員会である日本ユニセフ協会には、性的虐待を受けた女子大生から「私の写真がネット上に流れていないか探し続けている。あの写真がある限り、恋愛も結婚も子どもを産むこともできない」という手記が送られてきたという。

 昨年三月に東京都で行われた国際シンポジウム「子どもポルノサイトの根絶に向けて」では、スウェーデン代表から「日本も単純所持が犯罪にあたると早く定義していただきたい」と非難を受けるほど、日本の法整備は遅れている。

 日本ユニセフ協会などは今年四月、児童ポルノの所持自体を禁止する法改正を求めて各政党に要望書を提出した。だが、与党側は規制対象を「既に所有する画像」も含める意向なのに対し、野党側は「偶然手にした場合も処罰対象になるのはやりすぎだ。積極的に入手した画像」に限定すべきだと主張。足並みはそろわない。

 捜査関係者は「児童ポルノの愛好家には画像の所持、強姦やわいせつ行為、殺害した上での強姦(ごうかん)、わいせつ行為-という三段階がある。『単純所持者』の摘発は凶悪犯罪を未然に防ぐためにも必要だ」と話している。

2008年12月2日火曜日

今国会の法改正、政局混迷で難航

 秋の臨時国会で、改正論議の深まりが期待されていた。ところが、政局が解散含みから、世界的な経済危機への対応と目まぐるしく移り、改正案は宙に浮いたままだ。

 自民党法務部会長の桜井郁三衆院議員は「臨時国会の中心は景気対策。今国会での改正は難しい」と語る。

 もう一つの課題は、ネットにあふれる児童ポルノをどう消すかだ。プロバイダーの協力で画像掲載サイトを閲覧させない「ブロッキング」が注目されている。

 欧米で昨年末までに10か国が導入。スウェーデンでは、ネット利用者が児童ポルノサイトに接続しようとすると、画面に「STOP」という警告と単純所持の罰則などが表示される。

 堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)の話「ブロッキングは、ネット上にあふれる児童ポルノを減らす武器になる。規制のない国のサーバーを経由すれば閲覧できるため、各国間の協調も必要となる」

2008年12月1日月曜日

規制強化、海外に立ち遅れ

 児童ポルノ規制で、販売や提供を目的としない「単純所持」を禁止していないのは、主要8か国(G8)で日本とロシアだけ。

 韓国は昨年、法改正し、単純所持を2000万ウォン(約140万円)以下の罰金とした。「外国からは『まだ規制していないのか』と驚かれることも多い」(外務省)という。

 与党は今年6月、単純所持に罰則を設けた改正法案を国会に提出した。ネットでは所持をどの時点でとらえるか、難しい面がある。パソコンに入った時点で所持とすれば、迷惑メールを受け取った人も、所持になってしまう。与党案は「性的好奇心を満たす目的」の所持に限り、対象を児童ポルノを集める者に想定している。

 一方、民主党は「恣意的な捜査につながる」と反対し、有償取得などを罰する「取得罪」を盛り込む改正案骨子を発表した。

2008年11月30日日曜日

共有フォルダーにないと逮捕不可

 事件で使われたのは、ファイル交換ソフト「イーミュール」。画像などのファイルを共有フォルダーに保存すると、利用者はデータを共有し、長時間の動画も短時間で受け渡しできる。

 埼玉県警は、イーミュールをインストールした捜査パソコンで「サイバーパトロール」を開始。9~10月、強制捜査に踏み切った。ところが、押収パソコンのほぼ半数は共有フォルダーに児童ポルノはなく、ファイルは消去されていた。ネット掲示板で「警察がイーミュール利用者を狙って捜査している」との情報が広まり、捜査は難航する。

 児童ポルノを持っているだけでは「個人で楽しむため」と見なされて取り締まれない。共有フォルダーにあれば、「提供目的」などで摘発できる。捜査員は「共有フォルダーにないと逮捕できないのはおかしい。欧米では所持で100人単位で摘発した国もある」と嘆く。

 児童ポルノ問題に詳しい後藤啓二弁護士は「ファイル交換ソフトで被害が拡散する状況が改めて明らかになった。入手する側を規制する対策を早急に講じるべきだ」と話している。

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