インターネットのファイル交換ソフトを悪用し、児童ポルノ画像を海外ユーザーに提供していたとして、埼玉県警が児童買春・ポルノ禁止法違反(提供目的所持)容疑で逮捕した東京都内の会社員ら三人が、計約千八百件のポルノ画像を所有し、画像へのアクセスは昨年十二月から先月までに計三十八万件に及んでいたことが分かった。所持自体への法規制がない日本から、ポルノ画像が世界に流出している実態が浮かぶ。
県警によると、三人はファイル交換ソフト「eMule(イーミュール)」を使って画像の収集、提供をしていた。画像のほとんどが十歳前後の少女のものだったとされ、一部は少女の名前がタイトルに使われていた。児童ポルノの製造や販売が立件対象となったことはあるが、今回のように営利目的でない「提供目的所持」の適用は珍しい。
児童ポルノなどの根絶活動をしている国際的な非政府組織(NGO)の日本での活動団体「ECPAT/ストップ子ども買春の会」は「各国の水準から遅れていた日本にとって画期的なこと。児童性的愛好者の犯罪を、野放しにしないという警告になる」と評価する。
画像がネット上に流出すると、完全に回収するのはほぼ不可能。国連児童基金(ユニセフ)の国内委員会である日本ユニセフ協会には、性的虐待を受けた女子大生から「私の写真がネット上に流れていないか探し続けている。あの写真がある限り、恋愛も結婚も子どもを産むこともできない」という手記が送られてきたという。
昨年三月に東京都で行われた国際シンポジウム「子どもポルノサイトの根絶に向けて」では、スウェーデン代表から「日本も単純所持が犯罪にあたると早く定義していただきたい」と非難を受けるほど、日本の法整備は遅れている。
日本ユニセフ協会などは今年四月、児童ポルノの所持自体を禁止する法改正を求めて各政党に要望書を提出した。だが、与党側は規制対象を「既に所有する画像」も含める意向なのに対し、野党側は「偶然手にした場合も処罰対象になるのはやりすぎだ。積極的に入手した画像」に限定すべきだと主張。足並みはそろわない。
捜査関係者は「児童ポルノの愛好家には画像の所持、強姦やわいせつ行為、殺害した上での強姦(ごうかん)、わいせつ行為-という三段階がある。『単純所持者』の摘発は凶悪犯罪を未然に防ぐためにも必要だ」と話している。
エロゲーム規制や児童ポルノ禁止法に関するニュース記事を集めました。
2008年12月3日水曜日
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