エロゲーム規制や児童ポルノ禁止法に関するニュース記事を集めました。

2008年11月23日日曜日

「児童ポルノ法改正」に潜む危険 本来守りたいのは何か

まず問題を語る前に、基本情報をいくつか押さえておこう。まずキャンペーンの主体となっている「日本ユニセフ協会」は、国際連合児童基金(United Nations Children's Fund:ユニセフ)の日本法人ではない。ここはユニセフに「協力」している、ユニセフ外部の民間団体である。国連のほうのユニセフ日本事務所は「国際連合児童基金駐日事務所」で、渋谷の国連大学ビル内にある。

 さて肝心の児童ポルノ法というのは、1999年に制定された法律であるが、これは89年に子どもの権利条約の国連総会採択というのがあって、子供の権利を守るという観点から法整備が進められたものである。子供に対する拉致・監禁・誘拐などは児童ポルノ法を持ち出すまでもなく、犯罪である。児童ポルノ法の本来の役割は、青少年に対する性的虐待をなくすことにある。

 ところが実際にできあがった日本の児童ポルノ法は、なんだか援交禁止法とも呼べるものになってしまった。国連からは子供の人権保護を要請されたのに、できあがったのは貞操観念保護の法律であったわけだ。ここに最初のネジレがある。ここでいう児童とは、18歳未満の青少年である。これも一応断わっておくが、青少年というのは男女を含む。

 今年1月に衆議院調査局より発行された「各委員会所管事項の動向」(リンク先PDF)の233ページには、児童ポルノ法による検挙状況などが記されている。これによれば、検挙数や被害児童数は増減を繰り返しているだけで、特に増加傾向は見られない。児童ポルノ事件数だけが平成17年以降跳ね上がっているが、これは平成16年に法改正があり、処罰範囲が広がったためである。

 規制法が制定され、逮捕者が出れば、それに該当する犯罪は減少しなければならないわけだが、基本的に施行以来あまり変わっていないと言える。つまり児童ポルノ法は、犯罪の抑止効果が見られない法律ということになるわけで、役に立たない法律は廃案にすべきではないかと思うのだが、一度始めた規制を結果が出るまでエスカレートし続けるというのは、果たして正しいことかどうか。

 繰り返すが、児童ポルノ法の本来の役割は、青少年に対する性的虐待をなくすことにある。これに対する規制が、「児童ポルノの単純所持の違法・処罰」と、「実写ではない児童の性的描写を違法化」で成し遂げられるのだろうか。

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